宗教について 〜 人の生と死を考える 注34

公開: 2023年3月13日

更新: 2023年4月8日

注34. プロテスタントの倫理と資本主義の精神

20世紀の始め、ドイツの社会学者であったマックス・ヴェーバーは、米国で開催された博覧会の招待講演で、「プロテスタントの倫理と資本主義の精神」と題する講演を行いました。その中で、ヴェーバーは、19世紀半ばからの米国社会経済の著しい発展の背景に、プロテスタントの労働倫理と、それを必要とする資本主義社会の本質との適合があったと主張しました。さらに、当時のヨーロッパ社会では、そのプロテスタントの労働倫理が失われつつありました。

ヴェーバーが指摘したプロテスタントの労働倫理の中で、最も重要であると主張したのは、イギリスのカルバン派に特徴的な、「一生懸命働くことこそが、労働者達が死後「救われ」、天国へ行ける唯一の道である」とする考え方でした。ですから、米国社会で働く人々が、一瞬も怠けることなく働こうとするのは、そのような教えを信じているからだと、ヴェーバーは主張しました。そのような職業倫理に従って働き、その結果として得た財産を自分だけのために浪費してはならず、社会へ還元しなければならないとする思想が、社会に根付いていました。それが、20世紀初頭の米国社会が、著しく経済的に発展した理由だと主張されています。、

参考になる読み物

ヴェーバー M.著、「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」、岩波文庫(1989)